登熟中のコムギ種子内の植物ホルモン含量を調査しました

[著者] Matsuura, T., Mori, I.C., Himi, E., Hirayama, T.

[論文タイトル] Plant hormone profiling in developing seeds of common wheat (Triticum aestivum L.)

[掲載論文] Breeding Science (2019), 69: 601-610. doi:10.1270/jsbbs.19030
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbbs/69/4/69_19030/_article/-char/en

[内容紹介]
 植物ホルモンにはたくさんの種類があります.古くから種子の発芽調節にいろいろな植物ホルモンが影響するという論文が報告されています.コムギにおいては収穫前の時期に種発芽してしまう穂発芽と呼ばれる現象が農業上の大きな問題です.このため登熟中のコムギ種子内の植物ホルモンについては多くの研究があります.しかしこれまでの研究では少数のコムギ品種について少数の植物ホルモンの含量を調べるものがほとんどだったために,多数の矛盾した結論になっていました.
 この研究では7種の穂発芽耐性の異なるコムギ系統について9種類の植物ホルモンの同時測定を行い,植物ホルモン含量と穂発芽耐性の関連を調査しました.複数年に渡るホルモン定量調査の結果,植物ホルモンの含量はコムギの系統ごとに異なるが,穂発芽耐性とは関連が見れられないことが明らかとなりました.一方,種子に植物ホルモンの一種アブシシン酸を作用させて発芽率を調べ,アブシシン酸への感度を調査したところ,アブシシン酸濃度と発芽率に高い相関が見られたことから,コムギの系統間における穂発芽耐性の違いは,ホルモン含量ではなくホルモンへの感受性の違いによることが示唆されました.(文責 環境応答機構研究グループ・森 泉)

[使用した共通機器] Agilent 6400 LC-MS

関連リンク:環境応答機構研究グループ