動原体DNA配列の新しい単離法を開発しました

[著者] Kiyotaka Nagaki, Fukashi Shibata, Asaka Kanatani, Kazunari Kashihara and Minoru Murata.

[論文タイトル] Isolation of centromeric-tandem repetitive DNA sequences by chromatin affinity purification using a HaloTag7-fused centromere-specific histone H3 in tobacco.

[掲載論文] Plant Cell Reports, (2012) 31: 771-779.

[使用した共通機器] DNAシークエンサー、定量リアルタイムPCR

[内容紹介]
動原体は、細胞分裂時に染色分体を娘細胞に均等に分配するための必須の機能をもった構造体です。動原体は特異的なタンパク質とDNAで構成されていますが、種間でこれらのタンパク質の保存性は高いのに対して動原体DNA配列の保存性は低く種特異的です。そのため、個々の生物種で機能する人工染色体を作出するためには、その生物種の動原体DNA配列を明らかにする必要があります。タバコでは、2011年に動原体特異的レトロトランスポゾンを私たちが報告していましたが、通常動原体DNA配列として主要な縦列型反復配列は未同定でした。この主な原因として、クロマチン免疫沈降に用いた抗タバコ動原体特異的ヒストンH3抗体の力価が低かったことが考えられました。そこで、本研究では特異的抗体の代わりにHaloTag7と呼ばれる共有結合が生じる標識をタバコ動原体特異的ヒストンH3と融合タンパクとして発現させ、動原体DNA配列の単離に用いました。この標識を用いることにより、抗体を用いたときに比べて精製時に混入してくる非動原体DNA配列を高効率に除去出来るようになりました。その結果、新規に4種類の動原体特異的縦列型反復配列を単離しました。そのうち3種の配列は、染色体特異的動原体DNA配列でした。これまでに、この様な染色体特異的動原体DNA配列の報告は無く、今回の発見は動原体DNA配列を理解する上で興味深い発見となりました。また、今回用いた精製法を用いることで、通常成功率が低くコストもかかる抗体作成をせずに動原体DNA配列を単離出来ることが示されました。
(文責 核機能分子解析グループ・長岐 清孝)

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