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イネの新品種「ちくし粉85号」の原因遺伝子の同定(拠点共同研究による福岡県農林業総合試験場との研究成果)。

[著者] Nagamatsu, S., Wada, T., Matsushima, R., Fujita, N., Miura, S., Crofts, N., Hosaka, Y., Yamaguchi, O., Kumamaru, T.

[論文タイトル] Mutation in BEIIb mitigates the negative effect of the mutation in ISA1 on grain filling and amyloplast formation in rice.

[掲載論文] Plant Molecular Biology (2022) 108:497–512
https://doi.org/10.1007/s11103-022-01242-3

[内容紹介]
澱粉は、植物が光合成産物として合成する多糖類で、私たちが毎日食べているエネルギー源です。福岡県農林業総合試験場で開発されたイネの新品種「ちくし粉85号」は、難消化性澱粉を含み、食後の血糖値上昇が緩やかになることが示されている品種です。今回の研究では、ちくし粉85号では澱粉合成に関わる2つの酵素に同時に変異が導入されている事、これらの変異により2つの酵素ともにその酵素活性が消失している事を明らかにしました。つまり、育種の過程で2つの変異が同時に入った個体が選抜されて育成されていた事が明らかになりました。また本研究では、ちくし粉85号の澱粉粒の形状が野生型に比べて劇的に変化していることも明らかにしました。変異箇所の同定により、ちくし粉85号を育種母本として今後利用することが容易になりました。本研究の一部は、当研究所の全国共同利用・共同研究拠点の共同研究として実施されました。(文責 松島良)

[共同研究] 福岡県農林業総合試験場、秋田県立大学、九州大学

[使用した共通機器] ウルトラミクロトーム、実験圃場

[お問い合わせ先] 
光環境適応研究グループ 松島良
福岡県農林業総合試験場 永松志朗

関連リンク: 光環境適応研究グループ

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