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澱粉粒子の形を変える遺伝変異の発見

[著者] Ryo Matsushima, Hiroshi Hisano, June-Sik Kim, Rose McNelly, Naoko F. Oitome, David Seung, Naoko Fujita, Kazuhiro Sato

[タイトル] Mutations in starch BRANCHING ENZYME 2a suppress the traits caused by the loss of ISOAMYLASE1 in barley

[掲載誌] Theoretical and Applied Genetics 137: 212 (2024)
https://link.springer.com/article/10.1007/s00122-024-04725-7

[内容紹介]
澱粉はブドウ糖(グルコース)が鎖のようにつながった物質で、あるところではグルコースが直線状に、またあるところでは枝分かれしてつながっています。澱粉は穀物の種子中の70%以上を占めていて、植物が発芽する時のエネルギー源として使われます。穀物の種子は人間にとって主食であり、澱粉は人類にとっても大切なエネルギー源です。
澱粉は漢字で書くと「沈澱する粉」という意味の”澱粉”になり、細胞内では不溶性で、澱粉粒という粒子を形成します。私たちは、種子中の澱粉粒を簡便に観察する方法を用いて、澱粉粒の形が普通品種と異なる変異体の探索を行いました。
今回、普通品種のオオムギよりも澱粉粒が細長くなるhvbe2a変異体を単離しました。hvbe2a変異体では、澱粉のグルコース鎖の枝分かれを作る酵素の遺伝子に変異が生じていました。以前単離していた澱粉粒の形が普通品種と異なるhvisa1変異体やhvflo6変異体との交配により多重変異体を作成した結果、hvbe2a変異はhvisa1変異の効果を打ち消すこと、またhvbe2a変異と hvflo6変異を組み合わせると表現型が相加的にあらわれることを明らかにしました。これらの単独変異体や多重変異体では、普通品種とは異なるさまざまな形の澱粉粒が形成されました。澱粉粒の形は、澱粉の精製効率や加工特性等に影響する形質であり、今回の知見は澱粉粒の形の人為的なデザイン技術につながる可能性があります。(文責 光環境適応研究グループ・松島 良)

[共同研究] 秋田県立大学、理化学研究所、John Innes Centre

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[お問い合わせ先] 光環境適応研究グループ 松島 良 (rmatsu@okayama-u.ac.jp)

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