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紫米は宇宙で安定に保存できる
[著者] Sugimoto, M., Maekawa, M., Mita, H., and Yokobori, S.
[タイトル] Anthocyanin can improve the survival of rice seeds from solar light outside the international space station
[掲載誌] Life Sciences in Space Research (2025), 44: 79-85.
[内容紹介]
宇宙放射線やUV-Cを含む太陽光等の宇宙環境は植物内で活性酸素種(ROS)を発生させて酸化ストレスを引き起こし、DNAや細胞にダメージを与えます。今回、紫米と白米を国際宇宙ステーションの船外で440日間保存したところ、太陽光に当てた紫米の生育率が白米に比べ3倍以上高い値を示しました。種子に存在する発芽に重要な貯蔵型mRNAの損傷した数は、太陽光に当てた紫米では548個、白米では1,590個でした。これらの結果から、紫米に含まれる抗酸化物質であるアントシアニンが種子中の遺伝子を宇宙放射線や太陽光から保護し生育率を高めると考えられます。
本研究成果は、宇宙環境で種子の保存や栽培する植物に起こりうる問題や種子保存や栽培に不可欠な情報を提供し、今後人類が月や火星で長期にわたり活動する際に必要な食料の自給自足に貢献できることが期待されます。(文責 環境機能分子開発グループ・杉本 学)
[共同研究] 福岡工業大学、東京薬科大学
[お問い合わせ先] 環境機能分子開発グループ 杉本 学
[関連リンク] 環境機能分子開発グループ