クオドリウイルスファミリーに兄弟が加わりました

[著者] Lin, Y.-H., Hisano, S., Yaegashi,H., Kanematsu, S. and Suzuki, N.

[論文タイトル] A second quadrivirus strain from a phytopathogenic filamentous fungus, Rosellinia necatrix.

[掲載論文] Archives in Virology 158, 1093-1098.. doi:10.1007/s00705-012-1580-8

[共同研究] 果樹研究所・兼松聡子博士との共同研究

[共同利用機器] 超遠心機、DNAシークエンサー

[内容紹介] 以前本サイトに紹介しましたが、現在国際ウイルス分類委員会により87の科が認知されています。その中で菌類に感染するウイルスの科は12つ含まれています(2011年出版の第9次報告)。その後、私どもが提案した2つの新しい科(Megabirnaviridae, Quadriviridae)が認められました。これまでクアドリウイルス科については、代表種として認められている系統しか解析例はありませんでした。本論文では、第2のクオドリウイルス系統を詳細に解析しました。
第2例(Rosellinia necatrix quadrivirus 1-W1118)も代表種(Rosellinia necatrix quadrivirus 1-W1075)と同様に植物病原糸状(子のう菌)である白紋羽病菌Rosellinia necatrixから分離されました。共通な特徴として、ゲノムが4分節dsRNAセグメントから成り、球状粒子(直径45 nm)を生産すること、末端塩基が多様性を示します。末端塩基のヘテロジーナイティはウイルスゲノムとしては極めて珍しい例となります。これら兄弟ウイルス間で異なる点は、ウイルス粒子がW1118系統でより安定ということです。2つのウイルスを別種とするか同一種の別系統とするかは、それぞれのウイルス科により基準が異なります。W1118とW1075のウイルスの対応する蛋白質間には72–82%配列相同性が認められます。通常、この値は他のウイルスの科では別種とする閾値より低い値です。しかし、両者が同じ生物学的性状(同一宿主に無病徴感染する)を示すことから、同一種の別系統とすることを提案しました。これらの成果はウイルス分類学の雑誌に掲載されました。
尚、本研究は、果樹研の兼松博士との共同研究として行われました。(文責:鈴木)

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