ネコブカビ類により媒介される土壌伝染性ウイルスの総説です

[著者] Tamada, T. and Kondo, H.

[論文タイトル] Biological and genetic diversity of plasmodiophorid-transmitted viruses and their vectors(Review for the 100th anniversary).

[掲載論文] Journal of General Plant Pathology 79, 307–320 (2013)

[内容紹介] 植物のウイルス病はアブラムシなどの昆虫類で伝搬されるものがよく知られています。一方で、土を介して媒介される“土壌伝染性のウイルス病”も主要作物で大きな問題になっています。土壌伝染性の場合、多くの病原ウイルスが土壌中(根圏)に生息するネコブカビと呼ばれる植物寄生性の原生生物により伝搬されます。ネコブカビ類で媒介されるウイルスとしては、ベニウイルス、フロウイルス、ペクルウイルス、ポモウイルスとバイモウイルスなどに属す約20種が知られています。これらのウイルスはすべて2〜5分節のプラス一本鎖RNAを設計図(ゲノム)に持ち、ムギ類、テンサイ、ジャガイモなどの主要作物の重要病害の病原体が含まれます。一方、媒介者であるネコブカビ類としてはPolymyxa graminisPolymyxa betaeSpongospora subterraneaが知られています。ウイルスを保毒したネコブカビは休眠胞子となって土壌中で長期間生存するので、発病した圃場は長期に亘りこれらの土壌伝染性ウイルスの発生に悩まされます。これまでにウイルス病を防ぐために多くの抵抗性品種の育成・導入が図られてきました。ちなみに、オオムギ縞萎縮病の強度抵抗性系統「木石港3」の発見とその抵抗性遺伝子を用いた抵抗性品種育成は当研究所に在籍された高橋隆平博士の業績です。(http://www.rib.okayama-u.ac.jp/profile/ijinden/takahashi.pdf
しかし、いくつかの土壌伝染性ウイルスはこの半世紀の間に世界の作物栽培地域に広く蔓延し、さらに宿主の抵抗性を打破するウイルス系統の出現も大きな問題となっています。本総説では、6種の主要な土壌伝染性のウイルス病について、その地理的分布、病原ウイルスや媒介菌の多様性、抵抗性品種の育成について総説いたしました。なお、本論文は日本植物病理学会100周年を記念した総説の一つで、論文内の図は掲載号のカバーに採用されました。(文責:近藤)。

ネコブカビ類

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