ランえそ斑紋ウイルス(OFV)の遺伝子発現様式を明らかにしました。

[著者] Hideki Kondo, Kazuyuki Maruyama, Sotaro Chiba, Ida Bagus Andika, Nobuhiro Suzuki

[論文タイトル] Transcriptional mapping of the messenger and leader RNAs of orchid fleck virus, a bisegmented negative-strand RNA virus

[掲載論文] Virology 452–453: 166–174

[使用した共通機器] 超遠心機、DNAシークエンサー

[内容紹介] ランえそ斑紋ウイルス(OFV)はラン科植物の重要病害の病原の一種です。このウイルスは2分節型のマイナス鎖RNA(mRNA活性を有しない相補鎖)をゲノムに持ち、RNA1には5種のタンパク質(N, P,ORF3, M, G),RNA2にはポリメラーゼ(L)をコードします。OFVの遺伝子の構造や構成は植物ラブドウイルス,特にヌクレオラブドウイルス属に類似しています(近藤,2013ウイルス 63,43-154)。我々のグループでは、OFVの分子生物学を展開し、植物マイナス鎖RNAウイルスのモデル実験系を確立することを目指しています。
本研究では、その一環としてOFVの遺伝子発現様式を明らかにしました。まず、OFVの各遺伝子のmRNA(モノシストロニックに発現)を同定し、その末端配列をRACE法で決定しました。OFV mRNAの5’末端にはCapの存在が示唆され、さらにゲノムに存在しない1-4塩基のA配列の付加が認められました。それに続く転写の開始配列は最初の2塩基が保存されていました。一方、mRNAの3’末端には12塩基の保存配列[5′-AUUUAAA(U/G)AAAA(A)n-3′]が存在し、100塩基以上のポリA配列が付加されていました。さらに,OFVゲノム鎖およびその相補鎖の3’末端leader配列(非コード領域)からはポリA末端を持つleader RNAが転写されることが示唆されました。これらの結果を受け,OFV mRNAの5’末端にどのように配列付加が生じるのか,さらにleader RNA転写物の役割について動物ラブドウイルス(狂犬病ウイルスなど)の知見と比較しながら議論を行いました。(文責:近藤秀樹)

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