別種ウイルスの多機能タンパク質により誘導されるレオウイルスの再編成株―続編

[著者] Tanaka, T., Sun, L., Tsutani, K., and Suzuki, N.

[タイトル] Rearrangements of Mycoreovirus 1 S1, S2, and S3 induced by a multifunctional protein p29 encoded by the prototypic hypovirus CHV1-EP713.

[掲載誌] Journal of General Virology, 92, 1960-1970(2011).


[内容紹介]  2008年に筆者らのグループにより、異なるウイルス種間の興味深い新規のダイナミックな相互作用(相手ゲノムの再編成の誘導)を紹介しました。すなわ ち、ハイポウイルスとマイコレオウイルスは菌類ウイルスですが、共通の宿主クリ胴枯病菌に共感染すると、マイコレオウイルスのゲノム再編成(伸長、あるい はその両方を含むゲノムの大幅な変異)が高頻度に誘導されるのです。今回の報告はその続報です。ハイポウイルスはゲノムとして1本の1本鎖RNA ssRNAをゲノムとし、一方、マイコレオウイルスは11本(S1-S11)の分節型2本鎖RNAをゲノムとします。ハイポウイルスの多機能性蛋白質の p29(蛋白質分解、RNAサイレンシング抑制、病徴決定他の活性を有する)によりマイコレオウイルスのS1, S2, S3に再編成が生じ(S1L, S2L, S3L)、それぞれのORFが約1.5倍大きくなり、それらのタンパク質が発現しているのが分かりました。また、ゲノム再編成を受けたセグメントを持つウ イルス株は野生型ウイルスに比べ、穏やかな病徴を引き起こしましたが、ウイルスゲノム蓄積量にはさほど変化はありませんでした。これらの結果は、RNA複 製に重要な役割を担うと考えられるS1-S3が正常な病徴発現に必要であることを示します。この研究は、誘導型ゲノム再編成という極めて興味深い現象の再 現性を確認とともにその再編性誘導によるレオウイルスのゲノム機能の解析につながりました(文責:鈴木)。

 

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