ウイルス宿主としてのクリ胴枯病菌に関する総説です。

[著者] 鈴木信弘

[論文タイトル] 「マイコウイルス宿主としてのクリ胴枯病菌~知られざるマイコウイルスの世界を紐解く新たな解析ツール~」

[掲載論文] ウイルス 64、11−24

[使用した共通機器] 超遠心機、DNAシークエンサー

[内容紹介] 菌類は未同定,未報告の種も含めると百万種を超えると言われる.そこにはそれらを宿主とする多種多様なマイコウイルス(菌類ウイルス)の世界も広がっています.ここ20年に渡る一握りのマイコウイルス研究から,精製したウイルスの粒子に感染性があることが証明されて人工接種法の開発されました(意外と思われるかもしれないが,菌類ウイルスの自然界での感染性が証明されたのは、2012年のことであります)。また、ウイルス研究に必要な他の技術革新ももたらされました.植物病原糸状菌の一種であるクリ胴枯病菌は,マイコウイルス研究のモデル宿主菌としての地位を確立しつつあります。本菌では,いまだ完全ではありませんがアノテーション付きのドラフトゲノム配列情報も公開され,関連する研究ツール・遺伝子改変技術もよく整備されています.また,最近になり,分類学上の目が異なる宿主菌(白紋羽病菌)に自然感染していた多くのウイルスが本菌で複製できることが判明し,マイコウイルス研究を進めるための実験宿主菌としての一面も併せ持つことも明らかになりました。本稿では,マイコウイルスの一般的な性状,クリ胴枯病菌の実験ウイルス宿主としての優位性を概説し,さらにクリ胴枯病菌を舞台に得られた最近の興味深い解析例,「目立たないウイルスの複製を制御するDI-RNAとRNA サイレンシング」ならびに「RNAサイレンシングとウイルスRNAゲノムの組換え」を紹介しました。気軽に読んでいただける読み物になっています。(文責:鈴木信弘)

お問い合わせ先:植物・微生物相互作用グループ・鈴木信弘