RNAウイルスの感染記録(ウイルス化石配列)の実験手法を解説しました

[著者] Kondo H, Chiba S, and Suzuki N

[論文タイトル] Detection and Analysis of Non-retroviral RNA Virus-Like Elements in Plant, Fungal, and Insect Genomes

[掲載論文] Plant Virology Protocols: New Approaches to Detect Viruses and Host Responses. Methods in Molecular Biology, Vol. 1236, pp73-88, 2015

[使用した共通機器] 超遠心機、DNAシークエンサー

[内容紹介] 2010年以降、非レトロタイプの「RNAウイルスの感染記録(ウイルス化石配列, それまで存在しないと考えられていた)」が多くの生物種の核ゲノム上に発見されました。現在、西アフリカで大きな問題になっているエボラウイルスに関しても、感染記録の解析から、その起源は数千万年前まで遡ると報告されています (Taylor et al. PeerJ 2:e556, 2014参照)。特に、次世代シークエンシング解析により多様な生物ゲノムが相次いで解読されていることから、現在問題となっている他の多くの動・植物RNAウイルスに関しても、その感染記録を紐解くことが可能になりつつあります。そこで本実験書(第7章を担当)では、これまで著者らが植物・菌類・昆虫の核ゲノム上で進めてきた、RNAウイルス類似配列(ウイルス感染記録)の「探索・検出方法」や「分子系統学的解析法」について、その詳細な手順を紹介しました。今後、新たなウイルス感染記録の解析が進むことで、それらの情報はRNAウイルスの進化を理解するためのツール:「分子物差し」になると期待されます。さらに、これらウイルス様配列のゲノム上での存在意義を理解することで、「ウイルスと宿主との共進化や鬩ぎ合いの歴史」についても議論が可能になるかもしれません。
(文 責:近藤秀樹)

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