菌類ウイルスと植物ウイルスの間に見出された双方向の促進的な相互作用

[著者] Bian, R., Andika, I. B., Pang, T., Lian, Z., Wei, S., Niu, E., Wu, Y., Kondo, H., Liu, X. and Sun, L.

[論文タイトル] Facilitative and synergistic interactions between fungal and plant viruses.

[掲載論文] PNAS USA 117:3779-3788 (2020). doi.org/10.1073/pnas.1915996117

[共同研究] 本研究はRECTOR プログラム教員(クロスアポイントメント)・孫 麗英博士との共同研究の成果となります。

[内容紹介]
植物へ寄生あるいは共生する菌類は、宿主である植物と細胞成分のやりとりを行っています。私たちは、ある種の植物ウイルスが植物と菌類の間を往来できることを明らかにしました(Andika et al., PNAS 2017)。今回は、菌類ウイルスが宿主の障壁を越えて植物に広がることができるかどうか検証しました。ある種の菌類ウイルス(ハイポウイルス・CHV1)は植物(タバコ)の接種葉では増殖しますが、全身への移行・感染はできません。しかし、植物ウイルス(タバコモザイクウイルス・TMV)の感染個体や、TMVコードする細胞間移行蛋白質(30K)を発現する植物体では、CHV1は全身感染可能であることを見出しました。一方、植物ウイルスであるTMVを菌類(フザリウム菌)に接種した場合、CHV1が共感染しているとTMVの蓄積量が菌体内で増加することが判明しました。植物へのフザリウム菌の接種実験では、TMVがCHV1の菌から植物への感染を促進し、CHV1がTMVの植物からフザリウムへの獲得割合を増加させました。これらの成果は、植物ウイルスと菌類ウイルスの相互作用が、植物と菌類という生物界を超えたウイルスの水平伝搬を双方向に促進することを示しています。植物ウイルスと菌類ウイルスのこのような助け合いが、自然界のウイルス伝搬に貢献している可能性が示唆されます。(文責:植物微生物相互作用グループ・近藤秀樹/孫 麗英)

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