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イネの低カドミウム集積機構の解明

[著者] En Yu, Wenguang Wang, Naoki Yamaji, Shuichi Fukuoka, Jing Che, Daisei Ueno, Tsuyu Ando, Fenglin Deng, Kiyosumi Hori, Masahiro Yano, Ren Fang Shen and Jian Feng Ma

[タイトル] Duplication of a manganese/cadmium transporter gene reduces cadmium accumulation in rice grain

[掲載誌] Nature Food 3, 597–607 (2022).
https://doi.org/10.1038/s43016-022-00569-w

[内容紹介] カドミウムは毒性の強い重金属であり、イタイイタイ病を引き起こす原因物質です。我々が摂取するカドミウムの約半分はコメから由来し、イネのカドミウム集積を減らすことは我々の健康にとって非常に重要です。本研究では、カドミウム集積が低い品種Pokkaliに着目して、その低集積に関わる仕組みを調べました。Pokkaliは3千年前からインドで栽培されてきた在来品種です。様々な手法で関連遺伝子を同定した結果、OsNramp5という遺伝子がPokkaliで重複して存在していることを明らかにしました。OsNramp5はカドミウムとマンガンの輸送体で、この遺伝子の重複はカドミウムとマンガンの根細胞内への取り込みを増加させます。その結果、地上部へのカドミウムの転流をマンガンが競合して阻害し、地上部へのカドミウムの集積が減少します。
またこの遺伝子を繰り返し交配でコシヒカリに導入し、収量と食味、カドミウムの集積量に与える影響を調べました。その結果、この遺伝子の導入は収量や食味に影響を与えず、精米中のカドミウムのみが6割近く減少しました。この形質は今後低カドミウムイネの育種素材として役立ちます。 (植物ストレス学グループ・馬 建鋒)。

関連リンク 植物ストレス学グループ

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