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タマネギの動原体は、動き回っている 〜染色体のE pur si muove〜

[著者] Kiyotaka Nagaki, Koichiro Ushijima, Takashi Akagi, Keisuke Tanaka and Hisato Kobayashi

[論文タイトル] Pancentromere analysis of Allium species reveals diverse centromere positions in onion and gigantic centromeres in garlic

[掲載論文] The Plant Cell (2025), koaf142
https://academic.oup.com/plcell/advance-article/doi/10.1093/plcell/koaf142/8159937
DOI:https://doi.org/10.1093/plcell/koaf142

[内容紹介]
セントロメア(動原体の存在する染色体上の位置)は、「くびれ」としてそれぞれの種で固有の位置に存在し、不動であると考えられてきたため、染色体の形を表記する際のランドマークとして使われてきました。本研究では、ネギ属植物(ネギ、タマネギ、ニンニク)の多個体セントロメア解析を行い、タマネギのセントロメアの位置が品種間ばかりでなく同一品種の個体間でも異なり、動き回っていることが明らかになりました。この発見は、セントロメア研究分野において、地動説の様なインパクトを持ちます(まさに、「E pur si muove(それでも、それは動いている)」です)。高校生物の染色体観察の教材として馴染み深い生物に、この様な新発見が隠されていたのは驚きです。さらに、ニンニクは、これまで報告された中で最大のセントロメアをもつことも明らかにしました。(文責 長岐 清孝)

図1、染色体とセントロメアの模式図

 

図2、タマネギの移動するセントロメア
本研究でタマネギのセントロメア(図中のピーク)は、品種間のみならず、同一品種の個体間でも
異なり、頻繁に移動していることが示唆されました。

[共同研究] 岡山大学農学部, 東京農業大学生物資源ゲノム解析センター

関連リンク: 統合ゲノム育種グループ

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