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研究内容

1. ヘテロシグマと海洋細菌の相互作用についての研究
富栄養状態や高い海水温の他に赤潮原因藻の増殖を促進する要因はあるでしょうか?私たちは、ヘテロシグマに随伴する海洋細菌として単離したAltererythrobacter ishigakiensisが、ヘテロシグマの増殖を特異的に促進することを見出しました。面白いことに、ヘテロシグマと同じラフィド藻綱に属する赤潮原因藻シャトネラに対しては、この細菌は影響を与えません。また、ヘテロシグマとシャトネラを混合した系にこの細菌を加えると、ヘテロシグマ増殖が促進される一方、シャトネラの増殖は抑制されます。これは、もともとヘテロシグマがもっているシャトネラに対する増殖抑制効果(これまでの研究で、アレロパシー効果といわれています)が、この海洋細菌により強化されるためと考えられます。私たちは、A. ishigakiensisのヘテロシグマへの影響をさらに詳しく解析するとともに、このような影響をヘテロシグマに与える海洋細菌をさらに探索しています。このような研究の流れの一環として、当グループは、チリにおける赤潮モニタリング・プログラムに参画しています。。

2. ヘテロシグマに感染する大型二本鎖DNAウイルスについての研究
赤潮の発生は急激に起こりますが、消失も比較的短時間におこります。この赤潮終結因子として、ウイルスが重要な役割を果たすことが、水圏生物学者の研究により明らかになってきています。Heterosigma akashiwo virus (HaV)はヘテロシグマに感染して殺藻する因子として、瀬戸内海区水産研究所の研究者たちにより単離されました。このウイルスは、ウイルスとしては大型な二本鎖DNAをゲノムとしてもっています。私たちは、このウイルスを譲り受け、ゲノムを解読し、その分類を行いました。近年、物理的サイズおよびゲノムサイズともに、バクテリアを凌駕するような「大型ウイルス」が話題になっています。藻類に感染する二本鎖DNAウイルスでも、やはり大きいゲノムを持つウイルスが知られています。HaVとこれらのウイルスの配列を比較したところ、HaVは、これらのウイルスとは相同性が低い、新規なウイルスであることがわかりました。現在は、HaVの感染過程について分子細胞レベルでの解析を進めています。

3. ヘテロシグマの広域拡散の過程についての研究
ヘテロシグマは、世界中の温帯域の浅海に生息しているとされていました。しかし、近年、ヘテロシグマはシンガポールやブラジル・リオデジャネイロなどの熱帯や、北極圏に位置するノルウェーのスヴォルヴァールでも見出されています。これは、単により広い海域でヘテロシグマが同定されたためなのか、それとも、近年の気候変動などにより、ヘテロシグマの生息域が広がったためなのか、興味が保たれるところです。
私たちは、日本・北米・南米・ニュージーランド・ヨーロッパなどの広い範囲よりヘテロシグマを入手し、それらのミトコンドリア ゲノムの配列を解読し比較して見ました。その結果、ミトコンドリア ゲノム上に、非常に多様性に富む配列を見出しました。興味深いことに、この配列は、ヘテロシグマが由来する水域毎にある程度の相同性がを示すことが明らかになりました。このような由来水域に相関する配列は、ヘテロシグマの由来地マーカーとして利用できる可能性があります。
現在は、それぞれの海域におけるこのマーカー配列の多様性を検討し、さらに、より広い海域よりヘテロシグマを入手することで、どのような歴史的過程を経てヘテロシグマが現在の広域分布に至ったかを解明したいと考えています。

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